CT検査について
コーンビームCT(低被曝CT)
コーンビームCTとは?
多くの耳鼻科クリニックではX線一般撮影、いわゆるレントゲンを導入されていると思います。当院ではモリタ社の耳鼻科領域専用のCT検査を導入しています。
総合病院などにある通常のCTはヘリカルCTという方式で、全身の広い範囲を素早く撮影することに長けていますが、当院のCTは副鼻腔や中耳など耳鼻科領域の撮影に特化して作られたものでコーンビームCTと呼ばれます。
コーンビームCTのメリットは放射線被曝量が極端に低いこと、レントゲンと比較して診断能力が高いことが挙げられます。
モリタ社製 耳鼻科用CT
座った状態で撮影できます。撮影は5分以内で終わります。
放射線被曝量の比較
放射線の量はmSv(ミリシーベルト)という単位で表します。
当院のコーンビームCTは撮影範囲が最も狭い場合は0.022mSv、最も広く撮影した場合でも0.215mSvと、通常のヘリカルCTと比較して約10分の1~100分の1という低い被曝量で撮影することができます。
放射線被曝というと発がんリスクを心配される方もいらっしゃると思いますが、発がんリスクを高めてしまう1回の被曝量は100mSv以上からと言われており(※)、CTやレントゲンを受ける場合はほとんど気にする必要がない被曝量と言えます。
診断能力が高い
CTの優れた点は硬い骨と軟らかい粘膜を鮮明に描出できることにあります。
副鼻腔や中耳は骨に囲まれ粘膜に覆われた小さな空間であり、特に中耳には音を伝える骨(耳小骨)があります。耳小骨の中でもアブミ骨は約3mm程度であり、人体の骨の中で最も小さい骨と言われています。
この微小な空間を数mm単位で鮮明に描出できるCTは副鼻腔や中耳の病気の診断には絶大な威力を発揮します。
必要な患者さんにのみCT撮影を
このように非常に安全性が高く、病気の診断にも有用なコーンビームCTですが、最終的には患者さんのご判断やご希望を優先いたします。
当院のCT装置では通常のレントゲン撮影も可能ですので、それで全体的な病変が把握できれば充分である場合は決してCT撮影を無理強いすることは致しません。
副鼻腔炎や中耳炎は場合によっては手術が必要である場合もあり、多くの患者さんが不安になられます。
CT検査は自分の目で見ることができない「耳の中」「鼻の中」をはっきり見ることができるため、最良の治療法を提示する力強い手助けになり、患者さんご自身の病気への理解も深まると思います。治療への意欲が上がり安心につながることが多い検査です。
(※)環境省 放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト[1]